風 誘 2



 アカネイア聖王国の生き残り、ニーナ姫を守り戦っているオルレアン王国の王弟ハーディンと合流するために初めて正規の軍と戦うことになったマルス達は、相手の数の多さにどう攻めどう合流したらいいものかと夜を徹して議論を繰り広げていた。
「僕が囮になろう」
「マルス様!何をおっしゃいますか」
「川を挟めば、騎馬隊はそうそうこちらに向かってはこれない。僕の方に注意を向けておいて本隊はハーディン候と合流し南から砦を討つ。街に被害が及ぶ前に砦に向かってくれれば敵も慌てて引き返すだろう。そうしたら僕もそれを追って砦に向かう」
 反対しようとしたカインはその断固たる意見に口を閉ざし、もっと良い方法は無いものかと考えこんだがそれ以上の案は浮かんでこない。他の者も同様らしく、ジュイガンですら目を閉じたまま溜息を付いて賛同した。
「では、誰か供を」
「俺が行こう」
 誰もが一番に返事をしようとした途端、ゆっくりと立ち上がって紅の剣士と呼ばれているナバールが名乗りを上げた。敵から寝返ったこの男をあまり好いていないアリティアのメンバーは一様にむっとして彼を睨み付ける。
「そうだね、あまりに大人数だと動きが鈍くなる。ナバールと…アベル、一緒に来てくれ」
「はい」
 ちらりとカインに目を向け、にっと笑ってアベルは頷いた。悔しそうなカインはぷいとそっぽを向き何が何でもさっさとハーディンと合流して砦を落としてやると燃え上がる。
「カイン、急ぎすぎては駄目だ。こちらにはシスターも居る。一人で飛び出すなよ」
「…はい」
 その性格から猛牛…先も見ずに突っ走る…とあだ名されているカインは、マルスの諌めに渋々領いた。途端に他のメンバーから苦笑が漏れる。
「私なら大丈夫です。足手まといにはなりません」
「レナさん」
 美しく優しげな面立ちでありながら気品もありしっかりとした気性のシスターレナは微笑んで首を横に振った。それを心配そうに盗賊あがりのジュリアンが見ている。
「とにかく、時間が重要だ。ハーディン候やニーナ姫様も待っておられるだろう。今日は早く寝て明日陽の出と共に動く」
「だな」
 ジェイガンの締めにオグマは頷き、ちらりとナバールの方を見て天幕から出ていった。
「マルス様をしっかりお守りしろよ」
「………」
 ぎろりと睨んで出ていくカインに、ナバールは無言で領いた。デビルマウンテンでサムシアンに雇われていた死神とも呼ばれる傭兵ナバールは、シーダの説得とマルスの行動や言葉に動かされ彼らを裏切ったのだ。
 一度裏切った者は再び裏切らないという保証がない。マルスは完全に信用しているようだったのだが、他の者はまだうさんくさい様子で窺っていた。
 次の朝、マルス達は姿が見えるように草原を突っ切り街へと向かう。他の者はなるべく木々に隠れシスターの足に合わせながらじりじりとハーディン達が潜んでいる谷間へと向かっていった。
「アベル、一足先に街を見てきてくれ。敵が潜んでないとも限らない」
「はい。しかし」
 マルスに言われて一旦は頷いたものの、アペルはちらりとナバールを見て躊躇した。
「大丈夫。ここはまだ敵からは遠い。僕らの馬の扱いより君の方が早いだろ。先に行ってくれ」
「はっ」
 再び命じられてアベルは街への道を駆けだした。
「恐ろしくはないのか、二人きりで」
「敵が?それとも君が?」
 アベルの姿が見えなくなるとぼそりとナバールは訊ねた。にこりとマルスはナバールに笑い掛け、馬を歩かせ始める。
「人を信用しすぎると痛い目をみる」
「でも、君を信じているよ。今の君の目には迷いがないもの」
 何かに憑かれたように剣を振るっていたナバールの前に初めて現れた道。自分すら持て余していたものを治めてくれるだろう行く末にナバールは剣を捧げたのだ。
「……たいした王子だ」
「ん? 何か言った?」
 聞こえぬように呟くナバールに、首を傾げてマルスは訊ねる。だが、ナバールは応えずマルスより一歩先に馬を並ばせた。
 街への道の途中で予定通り敵側に発見され、追跡される。だが、街と敵の砦を阻む川に掛かっている橋は狭く大部隊が通れない。そんなことは見れば判る筈なのに敵側はたくさんの兵士を同時に向かわせ、橋の向こうでもたついていた。
「マルス様、街にはまだ敵の手が及んでいません」
「そうか、それじゃ取りあえず入って、引きつけて置かなくては」
 ハーディンと合流したという知らせが来るまでぎりぎりのところで敵をこちらに向かわせなければならない。だが、必要以上に時間を掛けると今度は街が戦禍に巻き込まれてしまう。
 街に入ったマルス達は馬から下り、敵側の動きが判るように一番端の方にある宿屋に入った。まだ戦争がそこまで来ていることに気付いていないのか、活気に満ちて宿にもかなりの人数が泊まっているようである。
「ったくよお、この戦争騒ぎでどっちもこっちも兵士ばかり。商売あがったりだぜ」
「ほんとだよな。うっかりしたこた言えねえがアリティア軍がこっちに向かってるって話だ」
「ドルーアに楯突こうなんて…」
 宿の一階は酒場兼食堂となっており、街人達の格好の噂場ともなっている。場違いな感じの三人にちらちらと目を投げかけながらも、街人達は噂話しに興じていた。
「二日待って知らせが来なくても、ここを出よう」
「しかし…」
「ここを巻き込む訳にはいかない」
 静かに話すマルスに、アベルは反対意見を引っ込めて渋々領いた。ナバールは無言のままに酒を飲んでいる。もし、向こうの合流が遅れ、三人だけで敵の大部隊と戦わなければならないとしたら……だが、アベルは慌ててその考えを振り払った。
「じゃ、先に見てるから、今の内に寝ておけよ」
「ああ…」
 マルスも交代で見張りに付くと言ったのだが、二人に却下され、寝台に横になった。その隣の寝台にナバールもごろりと横になる。暫くするとマルスの寝台から心地よい寝息が聞こえ、窓際で見張っていたアベルはそっと近付いていった。
「マルス様」
 起きている時は張りつめている表情も、こうして寝ている今はただの少年だ。伏せられた目に長い睡毛、うっすらと開かれた健康的な色の唇にアベルは暫く見とれてしまう。
「何を見張っているんだか…」
 低い声で言われ、アベルはぎょっとして振り返った。目を閉じたままのナバールに顔を赤く染め、アベルは静かに元の場所に戻っていく。あの安らかな眠りを妨げる者が居れば容赦はしないというように剣をしっかりと持ち、アベルはナバールと交代するまでマルスの方を見ることはなかった。
 夜も半ばを過ぎ、ナバールは彫像のように動かずじっと窓際に仔んでいたが、ふと視線を巡らせマルスの方を見た。
「…起きていたのか」
「ちょっと嫌な夢見て……」
 夜の暗闇でも判るマルスの瞳に、ナバールの目が細められる。静かに起きあがったマルスは、隣で熟睡しているアベルをそっと窺うとベッドから降りナバールの側に近付いていった。
「寝ておかないとあいつが心配する」
「うん」
 微かに領きはしたものの、ベッドに戻ることもなくマルスは窓際にナバールと並んで腰を下ろした。
「どういう夢だ」
「え?」
「話せば眠れる」
「優しいね…」
 にっこり笑ってそう言われ、ナバールは僅かに目を見開いた。優しいなどと言われたのは生まれて初めてではないだろうか。
「…アリティアから逃げる夢……みんなを守れずに死なせてしまう夢…」
「守れず? お前を守ってじゃないのか」
 ぽつりぽつりと呟くように語るマルスに、ナバールは訊ねた。マルスは首を横に振り、顔を上げてナバールを見つめる。
「誰も僕のために死んで欲しくない。だから、僕は強くなってみんなを守る。今はまだそんな力は無いけれど」
 力強い瞳に、ナバールは引き込まれるように手を伸ばし、マルスの頬に当てると口付けた。
「では、それまで俺が守ってやろう」
 突然の口付けに驚いていたマルスは、にやりと笑って言ったナバールの言葉に微笑んだ。
 これで安心して眠れると笑って言い、ベッドに戻ろうとしたマルスはナバールにぐっと腕を引かれてはっとする。だが、ナバールの視線はマルスではなく、窓の外を鋭く睨み付けていた。
「あれは…何だ」
 マルスも窓の外を見た。夜の闇よりも濃い暗闇が宿の外街路の隅に渦を巻いている。その中にぽっかりと姿を現したローブ姿を見て、ナバールはマルスを部屋の中央に押し戻した。
「おい!起きろっ、お客さんだ」
「なっ、何!」
 ナバールの声に慌ててアベルは飛び起き、剣を構えて窓に対峙する。ナバールも愛用のキルソードを構えじっと窓の外を窺っていた。
「くくく。そんなものは役にたたぬわ……マルス王子は我がいただいてゆく」
「何っ」
 いきなり後ろから声がして振り向いた二人は、剣を抜き黒いロープ姿に対峙しているマルスを見た。
「マルスっ」
「マルス様っ」
 打ち掛かるマルスを軽く交わし、黒ロープの魔道士はばちばちと火花を散らすエネルギーを掌に溜め込んでいく。ナバールはふわりと飛び上がりマルスの前に降り立つと、その腕を掴んでアベルの方に突き飛ばした。
「逃げろっ」
「ナバールっ」
 ナバールの名を叫ぶマルスを抱え、アベルは窓から外に飛び降りた。途端に轟音と共に部屋に光が作裂し窓枠が外に向かって吹き飛ぶ。煙を上げる部屋を呆然と見てすぐにも戻ろうとするマルスを止め、アベルはそこから離れようと腕を引いた。
「離せっ、ナバールが」
「今は自分のことをお考え下さい、マルス様」
 静かに言うアベルに、マルスは唇を噛みしめアベルに促されるまま街路を駆け始める。だが、角を曲がるとそこにはあの魔道士が立っていた。
「貴様」
「お前に用は無い」
 すっと魔道士が手を横に振ると、雷撃の魔法が前に立つアベルを襲い弾き飛ばした。一声呻いて剣を頼りに立ち上がろうとするアベルをちらりと一瞥し、魔道士はマルスの方に向き直った。
「多少傷つくのはやむを得んが、殺さずに捕えよとガーネフ様の命令だ。……多少で済ませられればいいのですけれど」
 剣を構えるマルスに笑いかけ、魔道士はにやりと笑い腕を差し出した。一撃を躱しマルスは魔道士に斬りかかっていく。だが魔道士は身のこなしも軽く、それを避けるとマルスに向けて雷撃を放った。
「うっ…」
「かなり加減してありますから、それくらいで済むんですよ。さあ、大人しく一緒に来ていただきましょう」
 痺れる身体を何とか立て直そうと膝を付き剣に鎚り付く。目の前が暗くなり、はっと顔を上げたすぐ側に魔道士の手があった。
「マルス様っ、伏せて下さい!」
 声と共に身体を伏せたマルスの上を冷たい風が吹き抜ける。ちっと舌打ちをして魔道士はマルスから離れ邪魔をした者を脱み付けた。
「こんな、ブリザー程度で我を倒すというのか」
「マリク…?」
「…ブリザーは気に入らないのか」
 懐かしい声にマルスは漸く立ち上がり、後ろを振り返った。魔道士の法衣に身を包み、魔道書を抱えたマリクはにやりと魔道士に笑い掛け別の魔道書を取り出す。
「ひよっこがっ、生意気な!」
「…四方より駆け集いし力、疾風の精霊の名において……我に力を! 風の聖剣エクスカリバー!」
「な、何っ!」
 強大な力がマリクの周りに渦巻き、それは鋭く空気を引き裂いて魔道士に向かっていく。避けきれずそれを受けた魔道士は身体中を切り裂かれ闇の中に消えていった。
「マルス様、大丈夫ですか」
「ああ。マリク、久しぶりだね」
 マリクはマルスに駆け寄るとふらつくその身体を両腕の中に抱きしめた。覚えている身体より随分大きくなったけれど、未だ自分の方が余裕で抱きしめられる。
「マルス様」
「アベル、大丈夫か」
「はい」
 よろよろと立ち上がったアベルに、マルスはマリクから離れ近付いていった。腕の中から無くなってしまった身体に、かなりの寂しさを覚え、マリクは唇を噛みしめた。
 アベルの怪我は酷いものではなく、一人でも歩けそうだったが、マリクと共に手を貸し、宿に向かってマルスは歩き始めた。
「なんでまた部屋がぶっ壊れたんだ」
「判らんねえ、おおかた酒でも飲んで暴れたんだろうさ」
 口々に喋り合い部屋の外で眺めている人々の外側で、マルスは中の様子が窺えず眉を潜めた。あの様子ではかなりの怪我を負っているに違いない。早く助けに行きたいのに、こう人目があってはままならない。
「ナバール…」
「呼んだか」
「ナバール! 無事だったのか」
「なんとかな。ところでそいつは?」
 後ろから掛けられた声に驚いて三人は振り返る。服や手足などが多少傷付いているもののそこには無事なナバールの姿があった。
 ちらりとマリクを見て訊ねるナバールに、マルスは取りあえず別の場所に移動しようと動き出した。
 宿の隣の馬小屋に移り、傷薬でアベルの治療をした後改めて二人にマリクを紹介する。幼馴染みで優秀な魔道士だと嬉しそうに言うマルスに、ナバールやアベルは複雑な表情を見せた。
「本当に来てくれて嬉しいよ」
「約束ですから」
 にっこり笑ってマリクは意味ありげにマルスに言う。約束という言葉にマルスは始め判らないようにきょとんとしていたが、やがて思い出すと頷いて満面の笑顔を見せた。
「覚えてたんだ」
「あたりまえでしょう。僕はそのためにカダインに行ったのですから。これからは僕がマルス様をお守りします」
 胸を張って宣言され、アベルとナバールの表情は引きつり眉間に雛が寄っていった。そんな二人に気付いているのかいないのか、にこにことマルスに微笑み掛け昔話にマリクは興じている。
「…という訳で、囮となってこっちに本隊を引きつけてるんだ。でも、さっきの魔道士に見つかったからすぐにここから出た方がいいかもしれないな」
「なるほど、でも大丈夫だと思います。今の奴はガーネフ直属らしいですから」
 何故だという顔をするマルスに、マリクはカダインであった不思議な白い生き物のことを話し出した。それを聞いていたマルスとアベルの表情が険しいものになっていく。
「神剣を使える者を欲している…か」
「ええ、それもメディウスには知られぬようにということなのでしょう。だから、ここのことは知らせては居ない筈です」
「でも、遅かれ早かれここには来るよ。見られているんだから……明日やっぱりここを出よう」
 マルスは立ち上がり自分の馬の手綱を解いて外へ出た。他の者もその後に続いて外に出る。さっきの宿はもう使えまい、このまま街のどこかで野宿をするしかないのだろうか。
「いい場所知ってます。マルス様」
 にこっと笑ってマリクはマルスの馬の手綱を取った。そのまま道を歩き始め、別の方向の街外れに向かい大きな屋敷の勝手口の方へ向かう。他の三人が困惑顔で見守る中、屋敷の中から現れた使用人らしき少女に何事か言いマリクは後ろを振り返って大丈夫と促した。
 馬を裏庭に繋ぎ、屋敷の中へと入っていく。少女はひっそりとしている屋敷の中を燭台一本で照らしながら階段を昇って二人ずつ別の部屋へと案内してくれた。
「こちらとこの部屋をお使い下さい。明日の朝食はここへ運んで来ますので、それではお休みなさい」
 ぺこりとお辞儀をして去っていく少女にマリクは礼を言い、アペルとマルスも慌てて頭を下げる。一体マリクとどういう知り合いなのかと二人はじっと見つめた。
「おい、魔道士さんよ、あの子とはどういう知り合いなんだ?」
「明日お話しますよ。ここなら安全です。周りに敵が来たら僕の意識に触れるよう結界を貼って来ましたから、安心して休んで下さい。おやすみなさい」
 にっこれと笑ってマリクはマルスを部屋に押し込め、自分も入って中からしっかりと鍵を掛ける。取り残された二人はお互い嫌そうな顔をしてもう一方の部屋へ入っていった。
「本当に、お久しぶりですマルス様」
「うん…元気だった」
「はい」
 一緒の寝台に腰を下ろし、隣のマルスをじっと見つめる。藍色の髪も青く揺るぎ無い瞳も変わっていない。ただ、その目には子供らしい純粋さと共に苦悩と大人っぽさもまた同居しているようだった。
「あれが風の魔法なんだ」
「はい。封じられていた超魔法、風の聖なる剣、エクスカリバーといいます」
「マリクらしい。凄い魔法だね」
「あれ以外はまだブリザーどまりなのですが、けれどこれからはもっともっといろんな魔法を覚えてマルス様のお役に立ちます」
「そんなこといい。君が来てくれただけで」
 ぎゅっと自分を抱きしめてくるマルスの身体にマリクはそっと腕を回し、同じように抱きしめた。自分と同じ歳で、こんな小さな身体で世界を敵に回し戦おうとしている。その身には多分、さっき語った以上の秘密もあるのだとマリクは直感していた。でなければ、神剣を扱えるという事だけで生かしておくだろうか。
「側に居ます…ずっと」
 マリクは身体を僅かに離し、マルスの顎を持ち上げてそっと口付けた。はっと驚いて目を見張り身体を堅くするマルスを強く抱きしめ、深く口付けていく。
「好きです…僕の王子……マルス…」
「マリク」
 唇を離し、目元や額に軽く口付け再び唇を合わせる。何か言おうとしたマルスの口中に舌先を伸ばすと、びくりと身体が震え今まで開かれていた目がゆっくりと閉じられた。
 我を忘れてマルスの唇を食っていたマリクは、マルスに背中を叩かれてはっと腕の力を緩める。いつの間にか寝台に二人は倒れ込み、マリクの下でマルスは赤い顔をして困ったように見ていた。
「す…済みません」
「何で謝るんだ」
「え…あ、その」
「随分、キスが上手だね。カダインでは魔道の他にこんなことも教えるのか」
 マルスに言われ、マリクは顔を赤く染める。だが、上から退くつもりはなかった。やっと会えたのだ。もう離したくない。
「……ナバールは…巧くてもしょーがないけど」
「えっ?」
 ぼそりと言ったマルスの言葉に、マリクはぎょっとして見た。そういえば、さっきのあの二人、自分のことを異邦人というよりは恋敵として見ていたような目だったけれど。
「ま、マルス様…」
「マルスでいいよ。……マリク、一緒に行こう。ガーネフもメディウスも倒して、姉様と母様を助けて…またみんなで暮らそう」
「はい」
 にっこりと笑うマルスに、マリクはゆっくりと重なっていった。

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