病院でちゃんとした手当を受け、二日間入院した炎の元には連日仲間遠の見舞いが引きも切らずだった。同じ病院内に居る竜の妹の美奈子も、時間があると炎の部屋へ遊びにやってくる。学もその時間になるとやってくるのは彼女が目当てなのかも知れない、 だが、たった一人、あの日から姿を見せない者が居た。 「随分元気になったな」 「ああ、もう全然ヘーき。早く退院してーぜ、退屈で退屈で」 見舞いに来ていた森と竜に腕を上げて元気になった証をアピールしてみせる。レスキューやダグベースが無事ならばその治療器を使えばいいのだが、そうもいかずに普通の病院で治療したにしては直りが早い。 「退院したら何をするつもりだ?」 珍しく竜が訊ねた。炎はそうだなあと考え込み、ぽつりと呟いた。 「学校へ行って…おっちゃんの庵に行って…」 「学校か。でも、あの校長のことだ。直ぐに復興させるだろうさ。さぼり魔のお前が学校に行きたがるなんて、カイが聞いたら泣いて喜ぶぞ」 そう言った森は、はっと口を手で押さえた。海が姿を見せないことを炎が少しばかり気にしていると知っているのに失言してしまい、森は焦って手を振る。 「ま、またゲームしに行こうぜ。お前が相手じゃねIとやっててもつまんねーよ、ほんと」 「ナンパの方が楽しいってか?」 一瞬暗い表情をした炎は、にやりと笑って森に言う。森は僅かに徴笑んだが、真剣な表情で炎の顔を覗き込んだ。 「マジ! お前が居なかった時にゲームしても、エリカちゃんと会ってても、楽しくなかった」 「シン…」 驚いて見る炎に、にっこりと笑み崩れ、森は続けて言った。 「でもさあ、おかげで工リカちゃんに慰められちゃってもう『しっかりしろ!』だなんて手ぇ握ってくれちゃってぇ、ハッピー」 「あ、そ」 いつもの森に戻ったのを見て、溜息を付き炎は笑い掛ける。隣で無表情のまま見ていた竜はふっと笑みを浮かべ、炎に言った。 「怪我が完全に治ったら、いつかの約束を果たそう」 「約束? あーっ、ヒヨコ」 何の約束だっけかと僅かに考えた炎は、思い出して竜を指さした。微笑み頷く竜に嬉しそうに炎も微笑む。 「ヒヨコ?約束?何だそりゃ」 お互い解り合って笑っている二人を不思議そうに森は見た。あのな、と話しかけた炎の言葉はノックと共に開けられた扉から人ってきたにぎやかな声に遮られてしまった。 「工ン、見舞いに来たぞい」 「エン先輩〜、お菓子焼いてきました」 一応ここは個室なのだが、狭い部屋にいきなり人数が増えてにぎやかになる。雷が焼いて来たケーキの香りに誘われたのか、美奈子と学もやってきて、お茶会が始まってしまった。 「ヨクは研究で忙しいのかな」 「ヨク先輩はカイ先輩と居ましたけど」 ケーキを頬張りながらみんなを見回していた炎は、雷の言葉に一瞬動きを止めた。馬鹿、と森は雷の頭を叩くが、判ってない彼は何なんですかと恨めしそうに見上げた。 「そっか…」 「ほ、ほら、これも食べろ」 「ん」 森が差し出すもう一つのケーキを、炎はにっこり笑って受け取った。 壊れた校舎を見下ろせる小高い場所に海はじっと佇んでいた。自分が見回っていた、あるいは仲間達と過ごした思い出深い場所の殆どは崩れ崩壊している。だが、再び新しい校舎も出来るだろう、新しい生活……ダグオンとしてのではなく、ただの高校生としての……もこれから始まる。 「カイ、こんな所に居たんですか」 後ろから声を掛けられても海は振り返らなかった。息を切らせて近付いてきた翼は海の隣に足を進めると同じように学校を眺め始めた。 「会わないんですか?」 「……」 黙ったまま応えない海を翼は見上げ眉を潜めた。 「カイ」 「どんな顔をして会えと言うのだ……私は。守っているつもりだったのに、それは驕りでしかなかった。工ンー人守りきれないで」 「それは僕らも同じ気持ちです。そうじゃなくて、もっと違う意味があるんじやないですか。あんまりしらばっくれてると誰かに先を越されてしまいますよ」 翼の言葉に海ははっとして振り返った。きつい視線を向け海を見ていた翼は、ふっと笑みを浮かぺると目を離した。 「だが、あんな醜態を晒してしまった私を、工ンはどう思っているのか…。自分でも信じられないくらいだ。あんな…情けなくもみっともない…」 「それだけエンのことを好きだってことでしょ。いいじゃないですか、人間なんだから、そんな時もあります。完璧を極めようとしてるから、壊れた時に困るんです」 海は片手で自分の顔を覆った。翼に言われ、考えてみると顔が赤くなってくる。 「私は…好きなのだろうか……」 やれやれと翼は肩を嫁めた。どっからどう見ても、炎が戻ってこなかった時の取り乱し様は普通ではない。自分も大事なパソコンを激情にかられて机から払い落としたりしたけれど、それ以上に海の焦燥ぶりは目に余った。 「会えば判るんじゃないですか?心配してますよ。顔を見せないから」 「……」 「まさか、会うのが怖いとか、言いませんよね?」 ぎくりと身を強張らせた海は、キツと翼を睨み付けた。 「この私が何故怖がらなければならないのだ」 憤然として竹刀を握り締め、歩き始める海の後ろ姿を見送った翼は、大笑いした後溜息を付き、その後を追い掛けた。 やっと退院して自分のアパートに戻ってきた炎は、直ぐに学校へ愛用の自転車を走らせた。使える部分では人の気配がし、盛んに測量や工事関係者が歩き回っている。この分では結構早く学校としての機能を回復できるのかも知れない。 自転車を停めると炎は裏の残っている森の中へ入っていった。奇跡的に無事だった校長の庵に近付いて行くと人の気配がする。そっと覗くとルナが何かの本を読んでいるのが見えた。 「こんちわ…」 「まあ、工ン、身体の方はもう大丈夫なの?」 「ああ、もうへーき。カ……校長先生は?」 海のことを聞こうと思ったのを言い直して校長のことを炎は訊ねた。ルナは僅かに小首を傾げるともっと山奥の方を指さした。 「多分薪用の木を取りに行ってると思うのだけど」 「ふーん、元気だなあ、あの人も。ルナさんは怪我大丈夫なのか?」 「ええ、ここで静養させていただいたから、すっかり良くなったわ。あなたのおかげよ、私や地球が救われたのも。ありがとう、工ン」 改めて礼を言われ、炎は照れくさそうに頬を指先で掻いた。 「でも、ルナさんを救ったのはカイだぜ」 「そうね……感謝しているわ、カイには」 にっこり笑って言うルナの言葉に微かに胸が痛み、炎は無意識のうちに首を捻った。そんな炎の様子に僅かに目を見張り、ルナの笑みは一層深くなる。 「カイは多分もうすぐここに来ると思うけど」 「えっ、そ、そーか」 途端にそわそわとし出す炎を見て、ルナは立ち上がり、外へ出ていく。 「本部に戻る日を、雷と相談してくるわ。ゆっくりしていって」 一緒に出ようとする炎を止め、ルナは扉を閉めてしまう。一人取り残された炎は、彼女の言葉にほっとするような感覚を覚えて再び首を捻った。 暫く時が経ち、炎はじっとしているのが苦痛になって外に出ようと立ち上がった。と同時に扉が開かれ海が人ってくる。 驚いたように目を見開き炎を凝視していた海は、口を開いて何かを言いかけそのまま止まってしまった。 「ルナさんなら、ライに会いに行ったぞ」 「…そ、そうか……」 扉の取っ手を掴んだまま半分中に人った状態で止まっている海に、眉を潜めて炎は告げる。はっと気付いた海は一瞬躊躇った後、中に入り扉を閉めた。 「もう、大丈夫なのか」 「まあな…」 ぎこちなく視線を逸らせ、扉近くで立ったままで居る海に、炎はますます眉を潜めて近付いていった。 「他になんか言うことねーのかよ」 きつい視線で上目遣いに言われ、海はどきりと高鳴る鼓動を隠すように胸に手を当てる。炎はそんな海の様子にむっとして手を伸ばし、その手を取った。 「カイ] 「好きだ!」 へ?と炎は海の手を取ったまま目を丸くした。まさかそんな言葉を聞かされようとは思ってもみなかったのだ。何故、見舞いに来なかったのかとか……強要する訳ではないが、ちょっとくらい見に来てもと思ったし……一人で無茶をするなと叱られるとか、そういう言葉を想像していたのに。 「お前を失ったと……二度と会えないかと思っていた。どれだけ私の心の中をお前が占めているか思い知らされた」 「ちょ…ちょっと待て……正気か?カイ」 自分が戻ってきた時の海の様子が思い浮かび、炎は焦ってその顔を覗き込んだ。漸く視線をきちんと合わせ、海は真剣な切ない光を浮かべた瞳を炎に向ける。 「正気であろうと無かろうと、今の私の正直な気持ちだ。もう失いたくない…」 そう言うと海は自分の手を捉えていた炎の手を反対に握り締め、抱き締める。あの時と同じ様だが、今の海の身体は暖かく強い腕の力で炎を抱き締めた。 「信じてなかったのかよ、俺は絶対戻ってくるって」 「……私はまだまだ修行が足らぬようだ。あんな情けない…姿を見せて……」 恥じるように呟き、海は炎を離した。顔を俯けている海の頬に手を伸ばし、炎はにっこり笑って見つめた。 「ほんと、なっさけねーと思ったぜ。あんなカイ見るの初めてだったし。いつも自信満々自分が法律みたいなお前がさ…」 炎の言葉に海はぎゅっと目を限り、拳を握り締めた。 「心配かけてごめん……嬉しかったぜ」 「工ン……」 はっと開いた目に、炎の眩しいほどの笑顔が写る。海は頬に当てられた手を取ると、想いを込めて口付けた。 「今度のは暖かいな……」 「今度?」 不思議そうに眉を上げ見る海に、炎は驚いたように目を見開いた。 「おい、あの晩の、覚えてないってか」 「あの…晩?」 本気で覚えてない様子の海に、炎は苦笑を浮かべると身体を離した。名残惜しそうに腕を伸ばし、海は思いだそうと必死で考えるけれど、どうにもあの時の記憶はあやふやで頼りない。雪の街を何時間彷徨い歩いただろうか、途中森に会ったのは覚えているのだが。 「あれぇー、工ン、退院したんだ」 「よお、いつまでもあんなとこに居られねーからな」 行き追いよく扉が開き、森と翼が顔を覗かせる。彼らに輝くような笑顔を向ける炎を見て、僅かに海の胸に痛みが走り抜けた。 不快そうな海をちらりと見て、翼は含み笑いを浮かべ炎の腕を取り外へと引っぱり出す。慌てて海も後を追い外へ出た。残された森は訳が判らず首を捻っていたが、一人で庵に残っていてもしょうがないと外へ出た。 「な、何だよ、ヨク」 「告白、されました?」 頭を下げるように言い、耳元に囁かれた言葉に炎はぎょっとしで翼を見た。にんまりという笑顔で自分を見る翼に、炎の顔はぼっと赤くなる。 「何をしているっ!」 二人を引き離すように間に海が入り込み、炎の身体に腕を回した。その様子と炎の複雑な表情を見て納得したのか、翼は鼻眼鏡を指先で押し上げにっこりと笑った。 「そうそう、そういうカイの方が、僕も好きです。油断しちゃ駄目ですよ」 翼の含んだ物言いに、海の目がきりりとつり上がる。ぎゅっと強く抱きかかえられ、炎は戸惑いながら海の腕を外そうとした。 「カイ…離せって。まだ傷がいてーんだけど」 「あ、ああ、すまん」 詫びながらも海の腕は離れない。ただ少し抱き締める力が弱くなった程度である。 「もう今日は帰った方がいい。送って行こう」 有無を言わさず海は炎の肩を抱いたまま丘を降りていった。 「……どうしちゃったの、あれ」 「シン、判らないんですか?」 「判ってるけどさ、まさかあんなに…いや、もともとああだったか。結構独占欲強い我が僅な奴かもな」 「ですよ」 呆れたように笑う森に、翼もくすりと小さく笑って二人を見送った。 「エン、何、何処行くの?」 「マリア」 帰り道の途中で真理亜に出会った炎は、不審そうに海を見る彼女に冷や汗を浮かべた。海はこんな街中だと言うのに、肩を抱いたままなのである。 「何も用が無いなら、あの約束、果たしてよ。映画とカラオケ」 「ああ別に…」 いいぜ、と続けようとした言葉は海の身体に遮られてしまった。 「これから家に戻すところだ。まだ傷が癒えていないというのに、そんな不健全な場所へ行くことは許さん」 ぽかんと見る真理亜の元から、海はさっさと炎を引きずるようにして歩き始めてしまう。慌ててまたな、と手を振った炎は結局自転車を置いたまま、海に送られてアパートに戻ってきてしまった。もしあのまま真理亜とデートなんてことになっても、もしかしたら海は着いてきたかもしれない。 「やれやれ」 溜息を付いて玄関に上がった炎は、当然のように続いて上がってきた海に呆れつつも追い返すようなことはしなかった。 「ほら、お茶……にしても、俺、もうほんとに大丈夫だぜ。それ飲んだら戻れよな」 キッチンに置いてある小さなダイニングテーブルにお茶を出し、炎はそう言うと何か茶菓子でも、と棚に向かった。 「わっ!」 「迷惑か?私が側に居ては」 後ろから抱きすくめられ、炎はどきりと心臓が跳ねてしまった。焦って胸の前に回された腕を引き剥がそうとするが、すっぽりと抱き締められて動きが取れない。 「そ…んなことないけど…カイ! 離せよ」 「嫌だ。ずっとこうしていたい。お前を…抱いて、感じたい…」 「まだ信用してないのかよっ! 俺はここに居る。そんなことしなくても」 むっとして暴れ始める炎の身を返し、海は貪るようにロ付けた。嫌がって顔を背ける炎の後頭部を片手で押さえ、深く口付ける。 「…ぅ……は……」 「そうではない。お前の全てが欲しい。愛している…エン」 切々と訴える海に、炎は深い思いの丈を込めた口付けのため力の抜けた身体を預けた。 海は炎の身体を横抱きに抱え上げると、もう一つの部屋へと運び込み、そこにあったベッドに下ろした。 愛しむように指先で炎の目元から頬、唇へと辿っていく。ぼんやりと近付いてくる海の顔を見て、炎はやっぱり綺麗だよなこいつなどと思ってしまった。 そっと触れ、ついで深く合わされた唇の間から熱い舌が炎の口腔に忍び込んでくる。あの晩の口付けは冷たかったが、今は熱く激しく蠢き絡んできた。 「んっ……ん」 息苦しさと煽られる感覚に、炎は腕を上げて海の身体を押し戻そうとした。しかし、その手を取られ頭の上で両方とも纏めて固定され、海に存分に味わわれてしまう。漸く離れた唇からは熱の隠った吐息が漏れ、炎は自分の口から出たそれに赤くなった。 「工ン、工ン……」 何度も名前を呼びながら、海は離した唇で首筋から鎖骨へとキスを繰り返す。片手で腕を押さえながら海はもう一方の手でシャツを捲り上げ、胸に手を這わせた。 胸の突起を指先で弄ぶられて、炎は驚いて身を煉ませる。引っ掻くように愛撫されたそれは、次第に堅く充血してきた。 「うわ……」 一方を指先で摘まれ、もう一方は唇に含まれ舌先で転がされて炎はびくりと跳ね上がってしまう。ちりちりとした痛みともつかぬ感覚がそこから全身に行き渡り、最終的に下腹部へと集中してきた。 「カ…イ、やだ…変だ、俺」 「感じるか…?」 炎の全てを確かめるように、どこにも隠されたところが無いように、海は服を剥ぎ取りあらゆる場所にロ付け、手を這わせていく。 だが、肝心な場所には手を触れず、熱く甘く溶けていく炎の表情をうっとりと眺め、海は自分も服を脱ぐとぴったりと身体を重ね合わせた。 熱い海自身を自分の下半身に感じて、炎は熱くなる身体をさらに羞恥に燃え上がらせる。海はゆっくり身体をずらすと今までの愛撫で勃ち上がってきた炎自身を握り締めた。 焦らされ続けていたその部分に直接刺激を与えられ、炎はひくりと身体を雲わせてシーツを握り締める。海は強弱を付けて炎自身を愛撫し、太股にキスを繰り返しながら先走りの透明な液で濡れてきた先端を指先で裡ねるように回した。 「あっ、んんっ……」 一気に上り詰めようとする炎自身の根本を押さえ、海はそれをロに含んだ。途端に炎は大きく背を仰け反らせ腕を伸ばして海の頭を押し退けようとする。 「なっ、何して……やだ…」 「…エン……」 「はあ…あっ……力…イ」 力の入らない炎の手を握り締め、海はさらにそれに舌を這わせ吸い上げる。びくびくと痙攣し始めた炎に、海は押さえていた指を離すと強く吸い上げた。 ぐったりと力を抜き、しどけなく横たわる炎を見上げ、海は身体を起こした。握ったままの片手に軽くキスをして離し、炎の両腿を抱え上げると海は既にはち切れんばかりに育っている自身を秘処に押し当てた。 「ぐ………うっ…や、カイ……っ」 このまま直ぐにでも炎の中に入りたいと焦るが、緊張に堅くなり濡れてもいないそこに無理に入れれば怪我をするだろう。海は一旦身を引くと指を自分の口に含み、たっぷり濡らすと炎の秘処に侵入させた。 宥めるように炎自身を愛撫しながら、漸く緩みを見せてきた秘処に入れた指で中を解していく。再び熱い吐息が炎のロから漏れだした頃を見計らい、海はなるべくゆっくりと自身を挿入していった。 「ああ…ん……」 「く……」 とろけるような炎の内部に海は耐えきれずに何度も動くことなく果ててしまう。身を傾け喘ぐ炎に口付けると、海はそのまま汗ばんだ身体を抱き締めた。 「愛している…ずっと…共にあろう、工ン」 「カイー……くさすぎるぜ…そのセリフ」 潤んだ瞳でくすりと笑う炎の動きで、内部は余韻に微妙な動きをみせる。それに刺激されて海は再び勢いを取り戻し動き始めた。 「また、会えるよな」 ルナと雷が故郷に戻る日、みんなは海岸に集まっていた。雷は仲間達一人ずつに思い出の品を貰い、炎からはぼろぼろになった上着を貰って、その時はうるうると涙を浮かべて炎に取りすがったりしていた。 「はい!…エン先輩、いつか迎えに来ますから」 にっこり笑って雷はそう言うと、シャトルの下へ走っていく。その言葉にぴくりと眉を上げた海は、どういう意味だろうと首を捻る炎を抱き寄せた。 ふと辺りを見回した海は、雷と同じ様な目で炎を見ている者が一人二人では無いことに気付く。だが、金輪際手放す気は無いのだと海は不敵に笑い、炎ににっこりと笑い掛けた。 |